読んだ本
『細見嗚呼御江戸』(国文学研究資料館所蔵)
出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/200020645
1(左頁から)
細見嗚呼御江戸序
女衒女を見るに法あり 一に目 二に鼻すじ
三に口 四にはへきは(生え際) 膚(はだへ)は凝(こゞれ)る脂(あぶら)のことし 歯は
瓠(ひさごの)犀(さい)のごとし 家々の風(ふう)好々(すき/\゛)の顔 尻の見
やう 親指の口伝 刀豆(なたまめ)臭橘(からたち)の秘術あり
て これを撰(えら)らむこと等閑(なをざり)ならねと
牙あるものは角(つの)なく 柳の装(みごろ)なるは華なく
智(ち)あるは醜(みにく)く 美しきに馬花(ばか)あり 静(しつか)なる
ははり(張り)なく 賑(にぎやか)なればきやん(粋)なり 顔と心と
風俗と三拍子揃ふもの中座となり 立者(たてもの)
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と呼(よば)る人の中に人なく 女郎の中に女郎まれ
なり 貴(たつとき)かな 得がたきかな 或(あるひ)は骨太(ほねぶと)毛むく
じやれ 猪首(いくび) 獅子鼻(しゝはな) 棚尻(たなっしり) 虫喰栗(むしくひくり)のつゝ
くるみ(実?)も 引け四つの前後に至れは餘(あま)
つて捨(すた)るは一人もなく ひろいところか アゝ
お江戸なり
午のはつはる 福内鬼外(平賀源内)戯作
(以下略)