読んだ本 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/wo06/wo06_01531_0004/index.html
(PDF)
2
玄宗皇帝は楊貴妃に鼻毛を筭(よま)れ。普の親王(おやだま)。
驪姫(りき)が為に世渡(よわたり)の一本綱を踏骠(ふみはず)し。西施(せめし:せいし)が
仙女香の粧ひには。夫瑳(ふき:ふさ)も呉国を亡廬(?)氏が薄化粧
の婀娜(あだ)なるには。項羽(かうう)も涎を流しゝなるべし。将源三位(はたけんざんい)
の頼政(よりまさ)とのは。菖蒲(あやめ)の前に現をぬかし。平相国(へいさうこく)の
清盛さんは常盤御前に生悪(しやうわる)を仕かけし何ど。算(かぞへ)
あぐるに間あらず 加之後頼朝朝臣の恋せずはとうた
ひたるも兼好法師の玉の盃と書れたるも。悉皆恋
でまろめた世(よの)中なれば朝(あした)に猪牙(ちょき)を走らせ 夕(ゆふべ)に四つ手(で)
を急(うなが)すも可なり。賢(けん)を賢とし色にかへよとは。唐人の
寝言にて不可也。亦退(しりぞい)て鑿(かんがえ)れば。しかいふも唐人の寝言
歟(か)。されど細見の序は。猫の尻尾にひとしきものぞ
天保八酉初秋 慶需 三亭春馬記