読んだ本 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko10/bunko10_06672/index.html
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二月にもぬかりはせじな花の春東風(こち)吹(ふき)通ふ見返(みかえり)
柳は契情(きみ)が心の賢(けん)なるを忍び糸遊絢(いというまつは)る愛
染桜は艶(あで)なる姿の華(はな)に比(ひ)すべし袂ゆたかに初
買(がひ)の霞のころも衣紋坂 紅(くれない)緑相対(たちならぶ)路柳墻花(ろりうしやうくわ)の
植溜(うえだめ)は さしも優しき洞房(わけざと)の招牌(まじるし)去年(こぞ)の枝折(しをり)の
道かへて新(あらた)に鐫(え)れる桜木の此(この)細見(とちぶみ)を
披(ひらき)て復(また)未(まだ)見ぬ花の奥書を求(もとめ)玉へかし
嘉永五年壬子睦月 柳下亭種員序