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吉原細見序文 天保15(1844)

 

読んだ本 

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko31/bunko31_e1338/

 

遊女(あそびめ)は客の心を種として萬(よろづ)の手くだ言出(いひだ)
せるものなり 世の中わある人諺茂きものなれば
心の思ひを述(のべ)んとて通ひ出せるなり 堀の舟堤(ふねどて)の
駕(かご)何(いづ)れか憂(うさ)を去(さら)ざりける 初会は生酔(なまえひ)のしたてる姫
に始り 裏馴染(うらなじみ)は酒(さゝ)呑(のま)ふ尊(みこと)よりぞおこりける されば花
鳥(とり)は八文字の裾わひらめき襟足の不士(ふじ)に簪(かんざし)の霞棚
引(びき)このもかのも禿(かむろ)はつくばねに心をうつし 蔭(かげ)より
しげき客人(まろふど)は見帰柳(みかへりやなぎ)の糸たえず 五葉(いつは)の松の
散(ちり)うせずして緑色ます春の賑(にぎは)ひ衢にうたひ廓(さと)に
悦び 古(いにし)へをしのびて新(あらた)なる世をあふがざらめかも
 辰の初春  甲子桜あるじ 二葉述


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